もう20年以上のお客さん。
私が商売を始めていちばん最初の頃からのおつき合い。
親しみを込めて、おばあちゃんとかきます＾＾。
久しぶりの電話で、なんだか声が懐かしくて。
夕方早めに終わったので、下見にお伺いしました。
少し腰が曲がったようだけど、耳もまた遠くなったけど、くしゃくしゃでニコニコの笑顔は変わっていませんでした。
いつも笑っていて、それでいて凜とした静けさがあって、優しくて。。。
トタンの塗装がはげちゃって
木造の平屋の住まいなんですが、壁の一面だけがトタンで、そこの塗装がはげてしまっていました。
塗装をしないと、錆びてきちゃいます。
「塗装屋さんに頼むと、足場を組んだり、全体をやらなければならなくなったりで大がかりになるしねえ」
「平屋なので足場はいらないし、一面だけを塗れば大丈夫ですよ」
ということで、見積もりをして、「あなたに任せるわ」と。
塗装の前にケレンという下準備から
塗装というのは、いきなり塗れません。
ケレンという下準備があります。
こういう、塗装が浮き上がっちゃったのをこそげ落とすんです。
ちょっと見づらいけど、こんな具合に。
これが結構時間がかかります。
地味な作業だけど、これをきちんと丁寧にやらないと仕上がりがよくないんです。
料理の仕込みといっしょですね。
それから養生という作業があります。
これは飛び散ったペンキがつかないようにビニールやテープで覆うんです。
これも大切な下準備。
下塗り・本塗り
で、塗っていきます。
塗料は、トタンにはトタン用の塗料です。
塗料にもいろいろありますが、最近は水系でもいいのがでています。
ホームセンターとかに売っているものと違って、プロ用の塗料ですから、長持ちしますね。
途中まで塗ったところ。
下塗りと本塗りの2回塗ります。
その方が長く持つんです。
人と人として
「一休みしなさい」と声をかけてくれて、一服。
縁側でお茶をごちそうになりました。
もう長いから、そして私の母親と同じくらいの年だから、他人の気がしません。
身の上話をいつもしているから、おたがいのいろいろを知っています。
ここには詳しく書けないけれど、おばあちゃんの人生のさまざまを私は知っています。
お亡くなりになった旦那さんのことも、娘さんのことも、自身のいろいろも。。。
そして私のことも、おばあちゃんはいろいろ知ってくれています。
「みんながよくしてくれるから、ほんとにありがたいわ…」
「いい人たちに囲まれて、私は運がいいわ」
私にはわかります。
それは、このおばあちゃんが、愛で生きているからです。
すべての人に愛で接しているからです。
私に対してもそうです。
仕事はあるのか、体は大丈夫かといつも心配してくれます。
近くにいると、なんだかあったかくて。。。
私は15で家をでちゃっていて、家族の縁が薄かったから。。。
昼はそばを一緒に食べました。
食べながら、薬味をもっと入れなさいとか、私は食べきれないから少しとってちょうだいとか、おいしいねとか。
優しいエネルギーが伝わってきて、涙がでそうになって、わさびが効いたとごまかしました。
洟がでてきて、めんどうだから、そばと一緒にすすりこみました。
トタン壁やトタン屋根は早めに塗装するのがおすすめです。
完成です。
茅ヶ崎や藤沢は、潮風で錆びやすいので、トタンは早めに塗装した方がいいと思います。
トタンの場合は、塗装の寿命は10年はもちません。
だいたいですが、6～8年くらいでしょうか。
トタンというのは、陽にあたったり、気温の変化でかすかに伸縮するんです。
そのために、どうしても塗装が剥がれやすいんですね。
だからトタン用の塗料は、弾性塗料といって、トタンの伸縮についていく弾力のある塗料なんです。
帰るとき、「元気で頑張るんだよ」と私の腕をさすってくれました。
胸がじんわりとあったかくて、胸の奥のしこりが、ちょっとだけ癒やされたような気がしました。