「定年後も何か仕事を続けたい」
「再就職ではなく、自分でできる仕事を持ちたい」
「年金だけに頼らず、少しでも収入を作りたい」
と考える人は少なくないと思います。
実際、日本政策金融公庫の調査データを見ると、起業家のうち50代が22.7%、60歳以上が11.0%を占めています。
50代・60代からの起業は、特別なものではありません。
しかし、20代・30代の人が起業しようとするのとシニアの起業は同じではないですよね。
シニア起業で一番大切なのは、
「大きく儲けること」よりも「老後の生活を壊さず、長く続けられる仕事を作ること」
ではないでしょうか。

50代・60代のシニア起業は、若い人の起業とは目的が違う
シニアの方の起業は、資金をたくさん使って、大きく挑戦すると言うより、
年金に毎月10万円、20万円程度の収入をプラスしたい。
70歳を過ぎても、自分のペースで仕事を続けたい。
会社員のように毎日決められた場所に通うのではなく、今度はマイペースでやってみたいなどが起業の目的なのでは内科と思います。
「会社をどこまで大きくできるか」ではなく、「これからの自分の人生に合った仕事を作れるか」
という視点の方が大切ではないでしょうか。
シニア起業で一番避けたいのは、老後資金を大きく失うこと
若い人とシニアの起業には、もう一つ大きな違いがあります。
それは、失敗したときにやり直せる時間です。
30歳で500万円を失った場合と、60歳で500万円を失った場合では、同じ500万円でも意味が違います。
60代になれば、退職金や預貯金はこれからの生活を支える大切な老後資金です。
そのお金を、店舗の契約、内装工事、高額な機械、大量の在庫、高額なフランチャイズ加盟金といったものに最初から投入してしまう。
そして、思ったほどお客様が来なかった。
これはシニア起業では特に避けたい失敗です。
日本政策金融公庫の2025年度調査では、新規開業にかかった費用の平均は975万円、中央値でも600万円でした。
一方で、500万円未満で開業した人も4割以上います。
開業費用そのものは長期的に少額化する傾向にあります。
私は、50代・60代から起業する人が、この平均額に合わせて何百万円も使う必要はまったくないと思っています。
スモールビジネスとしてなるべくお金をかけずに小さく始める。
これだと思います。
売上より先に「毎月いくら出ていく商売なのか」を見る
もう一つ、シニア起業で見てほしいのが固定費です。
例えば、店を借りて、家賃が毎月15万円。
車や機械のリースが5万円。
フランチャイズのロイヤリティや広告費。
人を雇えば給料。
という商売を始めると、仕事があってもなくても毎月お金が出ていきます。
これは結構怖いことです。
逆に、
自宅から始める。
一人でやる。
在庫を持たない。
必要になった道具だけ買う。
仕事が入ったときに必要な経費を使う。
という商売なら、仕事が少ない時期にも大きなお金が出ていきません。
50代・60代から始めるなら、
「売上が伸びたらいくら儲かるか」だけではなく、「仕事がなかったら毎月いくら赤字になるか」
を見ることが非常に重要ではないでしょうか。
起業は自由だが、収入を作るのは簡単ではない
起業には魅力があります。
日本政策金融公庫の2025年度調査では、開業した人の74.8%が開業そのものには「満足」と回答しています。
特に「仕事のやりがい」に満足している人は84.4%です。
一方で、「事業からの収入」に満足している人は28.3%にとどまります。
これは非常に現実的な数字だと思います。
自分で仕事をするのは面白い。
自分の判断で動ける。
やりがいもある。
しかし、
それと「十分な収入を得られること」は別です。
実際、開業後に現在苦労していることとして最も多いのが「顧客・販路の開拓」で48.8%です。
つまり、商売を始めることよりも「お客様をどうやって見つけるか」に苦労している人が多いのです。
「定年したから何か店を始めよう」
「フランチャイズなら全部教えてくれるから大丈夫だろう」
「資格を取れば仕事になるだろう」
という考えだけで、大きなお金を使ってしまうのは危険だと思っています。
シニア起業で考えたい「小さな商売」の条件
私なら、50代・60代から新しい商売を始めるのであれば、次のような条件をできるだけ多く満たす仕事を探します。
- 大きな店舗を必要としない
- 在庫を大量に持たない
- 一人でも始められる
- 最初から人を雇わなくてもいい
- 高額な設備投資がいらない
- 自分の経験を利用できる
- 副業から試せる
- 仕事量を自分で調整できる
- 年齢を重ねても続け方を変えられる
- 失敗しても大きなお金を失わない
全部を満たす仕事はなかなかありません。
しかし、
この条件から大きく外れる商売ほど、50代・60代から始める場合には慎重に考える。
それくらいでいいと思います。
その「小さな起業」の一つが便利屋
その上で、一つの選択肢としてでてくるのが便利屋さんです。
と、都合のいい方向に持っていってしまいました(笑)。
私は大工・便利屋として27年間仕事をしてきました。
だから便利屋を無条件におすすめするつもりはありません。
便利屋も決して楽な商売ではないからです。
仕事を始めただけではお客様は来ません。
集客も必要です。
体を使う仕事もあります。
クレームもあります。
できる仕事とできない仕事を判断する必要もあります。
今ではインターネットのマッチングサービスなども増えて、昔より競争が厳しくなった部分もあります。
それでも、シニアの小さな起業という視点から見ると、便利屋にはいくつか特徴があります。
店舗を持たなくても始められる。
在庫を大量に抱えなくていい。
一人でもできる。
自分のできる仕事だけから始められる。
副業でも試せる。
この点は、シニア起業との相性が比較的いいと思っています。
若い人にはない人生経験と奥行き

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便利屋は技術だけで決まる仕事ではありません。
定年後 便利屋として働く最大の強みは、何十年も社会で培ってきた「人間力」です。
お客様の家へ行き、話を聞き、見積もりをして、作業をして、お金をいただく仕事です。
つまり、人と人なんです。
便利屋さんのお客さんは、多くがご年配の方です。
それも80代とか90代の方が多いんです。
その年齢の人たちは、若い人よりシニアの人のほうが落ち着くし、頼みやすいと、私は27年の肌感覚で感じます。
もちろん人と人ですから、合う合わないはあると思います。
それでも、人生経験を積んだ落ち着きと奥行きは、さらに年が上の人たちは、きちんと理解しています。
そして、苦労をしてきていますから、どんな人かと見抜きます。
何十年も社会で働いてきた経験や奥行きが、そんなとき生きてきます。
便利屋は未経験のシニアでも本当に稼げるのか?
「便利屋 未経験の自分にできるのか?」という不安に対して、私はできると思います。
もちろん大きく稼ぐことは、無理ではありませんが現実的ではありません。
よく、「便利屋で月商100万円」とかネットでありますが、そんなあまいものではありません。
といっても、やり方次第では理論上はいくらでも稼げるんです。
たとえば、電球交換にいって、外壁塗装を相談されて100万円で受けて、80万円でやってもらったとか、遺品整理を50万円で受けて30万円で下請けしてもらったとか。
理論上は可能です。
だけど現実はそんなの、ほとんどありません。
こつこつと地道にやっていて、たまに、まあまあ稼げるときもある、というのが私の実感です。

誰でもできるけど、ご年配の方にはできないから頼みたいという仕事をこつこつとやりながら、少しずつ信用されると、お客さんがとても大事にしてくれるようになります。
ご年配の方は、一度信用するととことん信用してくれますから、何かあったらすぐに電話をしてきてくれるようになります。
そうすると、ここを頼みたいとか、こんなことで悩んでいるとか話してくれるようになるんです。
その中で、それなりの仕事も頼まれるようになって、お友達とか紹介してくれたりするんです。
終わってお茶をごちそうになったり、いろんな話をしたりするようになってきます。
そうやって、少しずつ売り上げが増えていきます。
最初はぽつぽつしか仕事はきません。
こんな感じのお仕事です。
これは27年やってきた私の実感なので、経済学者さんの言葉とは違います!
定年退職を控え、あるいはすでに退職し、
「このまま年金だけで老後を過ごすのは不安だ」
「まだ社会との繋がりを持ち、自分の力で稼ぎたい」
と考えたとき、便利屋さんで起業・副業は、ひとつの選択肢ではないでしょうか。
とここまで書いて、開業コンサルの宣伝です(笑)。

