少し暖かくなってきました。
季節が前に進みましたね。
一番最初からのお客さんのお仕事でした。
もう25年のおつき合いのおばあちゃん。
慌てた様子で電話がかかってきました。
セールスの人に、「屋根が壊れている」と
「大変なの」
「どうしたんですか」
いきなり電話がかかってきたそうです。
聞くと、「屋根が壊れていて、すぐに直さないと雨漏りがしてしまう」
セールスの人が言うには、「貼り替えないと大変なことになる」と言われたとのこと。
よくあるセールスです。
この類いのセールスがきて私に相談してきてくれるケースはほんとに多いです。
99パーセントは行ってみると何でもないです。
それをお話しして、一応見てみると電話を切りました。
大丈夫だろうと思ったけど、心配してるだろうから。
軒天が落ちかかっていて
ここのお住まいは瓦で、やっぱりなんでもなかったです。
けれど、軒天がこんな具合になっていました!
裏側だったから気づかなかったんですね。
屋根よりもこっちを直さないと。
おばあちゃんは、屋根を直さないといけないかしらと心配しています。
これは、瓦が少しずれて、雨が入ってこんな風になったんです。
そうじゃなければこんな風にはなりません。
セールスの人はこれは見えないし、見ていない。
少しずれていただけで、それは戻せば大丈夫だし、軒天を貼り替えればいいということを説明しました。
見積りをして、別の日、作業に。
軒天の貼り替え修理
よく見ると、中の木部がかなり腐食していました。
ほんとうはおおがかりにやるべきなんだけど、心配するから言わないようにしました。
築年数とおばあちゃんの年齢を考えて、修理で対応することに。
細かい写真は撮ってないけど、軒天(白い部分)を剥がして、腐食した木部を取り替えて、3ミリの耐水ベニヤを貼り、白で塗装をしました。
これでもう大丈夫。
人と人として
作業が終わって、おうちにお邪魔してお茶をごちそうになりました。
私が以前おいしいといった固いせんべいをだしてくれました。
おばあちゃんは入れ歯です。
お茶につけてふにゃふにゃにして食べています。
その日、私のために買っておいてくれたのでしょう。
胸が、ぎゅっと締まりました。
いろんな話をしました。
もう他人の気がしません。
私の母より少し上くらいの、この人は母の面影も。
私はちょっと家族と疎遠だったから、よけいになんか感じるものがあって。。。
ここには書けないさまざまを私は知っています。
いろいろ話してくれるから。
ずいぶん腰も曲がったけれど、耳も遠くなったけれど、まだまだお元気です。
どっこい生きてました。
思いやりがあって、穏やかなこの人といると、瞑想のときのようにこっちも平安に包まれます。
むしろ、瞑想なんかしなくても、そのままで生きてりゃいいんだと教えてもらっているようです。
おばあちゃんは、ただそこに在るだけです。
どうなろうとか、どう生きようとか考えず、ただ存在している。
花とか鳥とか、風とかみたいに、あるがままの姿で。
なんだか目頭が熱くなって、かっこわるいから我慢しました。
ただただ、優しいエネルギーを感じていました。
こういう人になりたいな、と思いました。