昔からのお客さんのおばあちゃんの紹介のお仕事でした。
古い住まいでなんとかしてほしいとの電話。
築70年以上とのこと。
「壁がどうにもなんないから、なんとかして!」
昔ながらの佇まい 昭和を感じる木造住宅
行ってみると、今では珍しい昔ながらの木造住宅です。
昭和を感じます。
写真をアップはできませんが、中も見せていただきました。
太い大黒柱。
手の込んだ天井。
漆喰。
屋根は銅葺き。
緑青といって、銅を含んだ雨水が木が腐るのを防いでくれるんです。
外壁はヒノキです。
一度も塗装していないということですが、70年もっていたんですね。
すごい。。。
でもさすがに傷んできて、反りがでたり、穴があいたりしていました。
工務店に相談したら、サイディングで回りを囲むような工事を提案してきたとのことでした。
それではせっかくの木の住まいが呼吸できません。
このヒノキの外壁の奥は土壁です。
本来、日本の住まいは、夏の暑さと湿気に対応するために作られています。
住まいは呼吸をしています。
畳、漆喰、障子は湿気を吸いとり、天気のいいときに放出してくれます。
木と土の外壁は通気がいい。
冬はちょっと寒いけど、ストーブや、たくさん着ればなんとかなります。
いろいろ相談して、今の外壁の上からヒノキを貼ることにしました。
20年くらいは大丈夫だし、いちから張替えとなると、予算的にも大変です。
確かに手間はかかるし、張り替えちゃった方が稼げるけど、築年数、お客さんのご年齢などを考えました。
これもエボシ流。
必要なことをする。
見積をして、説明して、日程を決めて、後日、作業に。。。
ヒノキを上張り
材木やさんを、いろいろ廻って、頃合いのを見つけました。
高いヒノキもありますけど、これはまあまあというか手頃でした。
まず、外壁の縦の間仕切りの桟がぐらぐらしているので、打ち込みました。
これを外していると、ばらばらと落ちてきそうだし、大掛かりになっちゃうから、そのまま使いました。
外壁の下は土壁で、その奥に垂木の基礎が入っていて、そこに打ち込めればがっちりします。
それから寸法を一枚一枚計って、切りだしていきました。
ヒノキは軽くて、表面がつるつるしています。
切ると、ヒノキのいい香りがしました。
最近、街であまり聞かなくなった大工の音ですね。
のこぎりや玄翁(かなづち)の音を最近聞きません。
最近の住宅は、工場で作ったものを組み立てる感じですから。
一休みしなさいとお茶を淹れてくれたので縁側で一服。。。
トンビが丸を描いていました。
家庭菜園の茄子の葉に、テントウムシが止まっていました。
なんか、いいな。。。
大きく息を吸い込むと、大気のエネルギーが静かにはいってきました。
しあわせって、案外こういうことなのかもしれませんね。
空があって、感謝される仕事がある。
私たちは難しく考えすぎているのか、多くのものを求めすぎているのでしょうか。。。
とにかく仕事再開。
夢中だったので、写真は撮りませんでしたが、ひとつひとつ切って、はめ込んで、打ち込んでいきました。
縦の桟の奥の垂木にビスがはいれば大丈夫ですが、こころもとない箇所もあって、コーキングで固定したり、すきまを埋めたり。。。
時間と手間がかかるけど、楽しい時間でした。
貼りで二日間。
それから着色のステイン(防腐剤)を塗りました。
ヒノキは水に強いから塗らなくてもいいんですけど、新しい木のままではなんだか目立って恥ずかしいということだったので。
完成。
なにかあれば、すぐにきますからというと、安心してくれました。
これでとうぶん大丈夫です。
先にも触れましたが、サイディングやトタンで囲ってしまうより、このほうが住まいのためにも、予算的にもいいんです。
もちろんケースバイケースで、そうしたほうがいいときもあります。
そのときに、必要なことをする。
それが自然で、ほんらい、それが当たり前のことだと思います。
自然て、必要なことが必要なだけ揃っています。
宇宙は完全な秩序で保たれています。
銀河系も、細胞のひとつも同じにできています。
万物が共鳴し、助け合ってできています。
人と人だって同じだし、仕事も同じだろうと思います。
社会もほんとうはそうなろうとしているのだろうし、ひとりひとりもほんとうは愛に満ち溢れているのだと私は信じています。
瞑想から私は多くのことを学べました。
いつもありがとうございます。
湘南の住まいの困ったは、エボシまで。。。
便利屋的なお仕事もやっています。