ベランダの修理をさせていただきました。
鉄製のベランダは、このように錆びてしまっていて、ぐらぐらします。
道路から見えるし、何とかしてほしいとのことでした。
布団を干したりしますし、手をかけると危ないですね。
今回はあと少し持てばいいという相談でしたので、特別なやり方です。
昔ながらの轍のベランダ
今はアルミのベランダがほとんどですが、築30年くらい前はベランダは鉄が主流でした。
錆びてしまっていますね。
ちなみにベランダの床は、何年か前に私が張り替えをさせていただいています。
15年来のお客さん。
ご年配のお母さんと娘さんの二人暮らし。
いつもなにかと、頼んでくれます。
娘さんが私にそっと打ち明けてくれたことがあります。
「おばあちゃんがいなくなったら、私はマンションでも引っ越すの。だからあまりお金をかけたくないの。。。」
アルミで新しくやり返ると、高額になってしまうので、打ち合わせの上、材木で造作することに。
ベランダ手すりを作り替える
古いベランダの手すりをはずします。
夢中だったので写真撮り忘れ。。
骨を組んでいきます。
今回はツーバイフォーの材料を使いました。
ホワイトウッドという材木。
特別雨に強いと言うことではないけど、値段が手頃で、塗装すれば長持ちします。
縦の桟を造作していきます。
とにかくがっちりさせなければなりません。
道路から見たところ。まだペンキは塗っていません。
おばあちゃんの温かさ
ここで一服。
おばあちゃんがお茶を入れてくれました。
私は気づかなかったのですが、作業服の背中が破れていました。
どこかに引っかけちゃったのかな。。。
「脱ぎなさい」とおばあちゃん。
「いや、いいですよ」
「何恥ずかしがってるの。こんなおばあちゃんに」
おばあちゃんは、汚れた私の作業着を縫ってくれました。
背中を丸めて。
正座して俯いて針を使う白髪頭の姿をじっとみていると、涙がでそうになって、くしゃみのふりをしてごまかしました。
胸がじんわり温かくなりました。
塗装
そして塗装。
ウレタンという防水性の強いペンキを2度塗りします。
これでがっちりしました。
作業に必死だったので、あまり写真をとれませんでした。
ちょっと見、ウッドデッキのように見えなくもない(笑)。
ついでに戸袋も同じ色で塗りました。
もちろん布団も干せます。
寄りかかっても大丈夫。。。
築年数の古くなったお住まいは、セオリー通りにすると、高額になってしまいますので、アイデアと心意気ででなんとかします。
ここのおばあちゃんはご近所の方やお友達をいつも紹介してくださいます。
おばあちゃんも娘さんも、いつも温かく接してくれます。
仕事をさせていただいたのはこっちなのに、「ありがたいわ」「きれいになってうれしいわ」「よかったよかっxた」と繰り返してくれます。
それは私のために使ってくれる言葉です。。。
相手をまず考える。
思いやる。
日本人です。。
新聞やテレビはギスギスすることばかりかもしれません。
だけど、そんなことばかりじゃない。
パワースポットとかに行かなくても、ステキは街の路地にありました。
コラム 見積もり
見積りのため車を走らせる。
もう一五年来頼んでくれている。最初のころからのおばあちゃんの紹介の紹介のお客さん。
茅ヶ崎の空が海のように碧い。
行ってみると、コタツにあたりながらおばあちゃんはテレビに見入っていた。
お茶を入れてくれたので一緒に見る。
地震の被災者に「大変だろう。どうするんだろう」。
自分と他人の区別がこの人はない。
人の痛みがわかるこの人を、私は大好きだ。
胸の奥に温かい灯がともる。
二人で涙ぐみながらしばらくせんべいをかじり、挨拶して外にでた。
車を走らせてから、いけねえと戻る。
見積りに行ったのだ。
まだまだあまいなあと、苦笑しながら私は頭をごちんと叩いた。