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電灯のシーリング工事と昔ながらの日本の住まい

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ずいぶん久しぶりのお客さんからの依頼でした。

玄関の電気がつかくなったとのこと。

忙しかったので、仕事終わりの夕方に行ってみました。

 

昔ながらの大切な、思いでの電灯

 

ちょっと変わった形だなあと思っていると、お客さんが説明してくれました。

「和紙の繊維をガラスに埋め込んでいる」んだそう。。。

なるほどシックで、一見目立たないけれど、なんというか凜とした存在感があります。

当時はそれなりの金額で、記念に買ったのだそうです。

 

 

豆電球を変えてもつかないとのこと。

シーリングを外して見ると、壊れています。

 

 

「シーリングを交換すれば大丈夫ですよ」

「よかった。お願いね」

ということで、さっそく作業に。

 

シーリングの交換

 

シーリングというのは、電灯の上の部分の天井に設置されているもので、丸か四角の形をしています。

ここに電灯を引っかければ電気がつきます。

電線は2本になっていて、それぞれをねじのところに固定させてつなぎます。

ちょっと見づらいですがこんな感じ。

 

 

天井に設置して完成。

いちおう電気工事なので、自分ではやらない方がいいと思います。

 

きれいですね。。。

少し幻想的でもあります。

 

 

ここのお家は昔ながらの木の住まい。

木戸。

漆喰。

瓦屋根。

畳。

障子。

ふすま。。。

日本人の私たちはやっぱり、木の住まいがいいんじゃないでしょうか。

もともと日本の家は、夏の暑さと湿気対策に重点が置かれて建てられています。

障子、畳は湿気を吸いとり、晴れた日にそれを吐きだしてくれます。

つまり呼吸しているんです。

漆喰もそう。

 

そしてそういう住まいは、職人が心を込めて作っています。

昔の職人は頑固で、だけど仕事はきっちりしていました。

昔私がお世話になった大工の親方は、気に入らないとなんどもやり直していました。

建前の前の日は、ひとりでこっそり神社に行ってお札をもらってきて、屋根裏に貼りつけていました。

心意気なんです。。。

昔、言われたことがあります。

「家って言うのは社なんだ。 神様が住むところが神社で、人が暮らすのが家なんだ。そこで何十年も家族が暮らすんだ。だから手を抜いたらなんねえ」

今は手の早い、要領のいい仕事人が好まれるようですが、職人として、大切な部分は忘れないようにしようと思いました。。。

 

コラム 古民家

 

今日は15年来のお客さんの仕事。月に一度は頼んでくださる。

それもそのはず、築50年を過ぎた住まいはあっこっちが傷んでくる。

今風のおしゃれな住宅の中に、ひっそりと、だけどがっしりと建っている。

まるで古民家のような佇まいだ。

漆喰は湿気を吸いとる。障子は夏涼しく冬暖かい。畳は日本人の魂だ。

そしてここに暮らすおばあちゃんは、戦争を、戦後を生き抜いてきた日本の女性だ。

辛抱強く、情に厚く、温かい。

いつもありがたいありがたいと言い暮らしている。

不条理や理不尽や腰の痛さやさみしさを、丸ごと呑み込んで、

それでいて思いやりを持ち続けている。

梅が思いきり咲いていて、鳥が春を告げている。

おばあちゃんは目を細めてそれを見る。桜はもうすぐだ。

 

 

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